立ち止まって水を飲む

日記 エッセイ 雑記 その他をさらけ出したい。

梅雨の朝あの子は待っている

梅雨時期に入った。

 

この頃になると思い出す。

もう6年位前のこと、当時は闇期に入っていた。

悩み、苦しみ、凹んで病んだ。

 

そんなとき、人が少ない午前中をねらって、近所の緑道をよく歩いた。

 

 

そこには、梅雨の時期に活躍するあじさいの青紫や赤紫が両端に陣取っていて、梅雨空に色をそえた。

 

目を奪われながらベンチに腰かけてうつむく。

 

下を見ればアリがせっせ  せっせと動いてる。

群れをなしているのか?単独でそれぞれ動いているのか?

 

いずれにせよ、アリ社会がそこにあり成り立っているんだろう。

そんなことを思いながら、ベンチから腰をあげて歩き出す。

そぉ~っと    アリを避けながら・・・・

 

しばらくすると、あじさいの花と葉の間にねこが顔を出して

こっちを観察していた。

 

その後、緑道に行くたび、そのねこと顔見知りになっていった。

 

「そうだ」 名前を付けよう。

勝手にあじ子にした。それもメスと決めつけ。

 

会うために歩く          歩くために会う

 

あじ子はのらだ。のらはお腹がすいている。

なので、カリカリを買って会うたびにあげていた。

 

あじ子」と呼ぶと「にゃー」と答える。

ツーカーの仲になった。

 

緑道にはほとんど毎日通った。

 

それから、1年が過ぎたころからあじ子は姿を見せなくなった。

カリカリを食べる姿も、呼べば答えてくれたかぼそい声も・・・

 

今でも梅雨になりあじさいが咲くと

あじ子はそこにいる

面影だけがそこにいる

 

あの姿

見たくて歩く

梅雨の朝

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ありがとう