立ち止まって水を飲む

日記 エッセイ 雑記 その他をさらけ出したい。

孤高の旅猫 文次郎

 

 

4年前位に 以前住んでいた アパートの玄関の前に 現れたのらがいた。

 

当時は  のらが何匹も顔を出してきていた そのうちの一匹だった

 

見るからにがたいがいい。

 

体は傷だらけで堂々としている。

 

ただ者ではないオーラがでて風格があった。

 

玄関に来たときは 腹がすいていると思い チーズや鶏肉をあげた。

それを がっいて食べるのではなく ゆっくり優雅に

むさぼっていた。

 

ある日  買い物の途中に、道路を堂々ゆったりと歩いている文次郎を見つけた。

こっそり  後をつけてみると 一軒の家の門に 入っていった。

 

「ああ、そうか、よかった」

 

「生粋ののらではなかったんだ」 ほっとしたのを憶えている。

 

それからも玄関に現れるのを待った。

そして 忘れたころに姿を表す。

そのときは  「文次郎!」 と思わず声を出して   頭と体をなでた。

 

そう    頭と体をなでさせてくれたんだ!

 

だまって身をゆだねている・・・

まるで、横綱が付け人に体を洗わせているかのように・・・

 

 

そのあと、用意しておいた鶏のむね肉の茹でたものを

さいてサランラップの上に置き

食べるのを見届ける。

 

優雅にむさぼりついたら、階段をおりてまた外へ・・・

 

その姿を見たら、なんというか媚びない感じで親分感がでている。   

 

 「よっ!」

 

「文次郎さん」 

 

さんづけになってしまう風格。

 

その後 徐々に玄関に現れなくなり、外でも見かけなくなってしまった。

 

あの勇姿! 勉強になった・・・のらで・・・・

 

あの世でも旅をしていることだろう

 

人に媚びない孤高の旅猫   文次郎        

 

ありがとう

さようなら

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